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09,19

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2010
01,05
つづいてこの10年のそれぞれの年に読んで好きだった本を振り返ってみる。



<2000年>
金子達仁『決戦前夜』(新潮社)

それまでにも山際淳司などは読んでいたが、この年に、
「スポーツ・ノンフィクション」というジャンルをはっきり意識した。
日韓ワールドカップが近付いていたので、自然とサッカーものに進む。
ほかには金子達仁『28年目のハーフタイム』など。


2001年
木村元彦『悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記』(集英社)

スポーツノンフィクションの流れで読んだはずが、
民族紛争の問題に引き込まれる。
衝撃だった。
のちの卒論の内容に影響。


2002年
高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』(岩波書店)

もともと小説もちょっとだけ読んではいたけれど、
これを読んだあとは明らかに、その読み方が変わったように思う。
小説にかぎらず、自分のいろんなものがここから生まれていった。
身の回りの好きなものを集めたりとか、そういうことも。


2003年
村上春樹『海辺のカフカ』上・下(新潮社)

ぼくはこの本で村上春樹を初めて読んだ。
いましていることとか、ついている職とかのおおもとがここにある。
芽生えたものをスタートさせてくれた本。

「つまり彼にとって、自分で判断したとか選択したとか、そういうことってほとんどなにもないんです。なんていうのかな、すごく受け身です。でも僕は思うんだけど、人間というのはじっさいには、そんなに簡単に自分の力でものごとを選択したりできないものなんじゃないかな」
村上春樹『海辺のカフカ』



2004年
森博嗣『スカイ・クロラ』(中央公論新社)

ようやく本をたくさん読み出した年。
とくに小説を読んで、森博嗣とはこのシリーズで出会う。
独自の思考に惹かれる。

抵抗することが生命の証なのだ。たとえ、その行為が繰り返し無駄になったとしても。
森博嗣『スカイ・クロラ』



2005年
伊坂幸太郎、石田衣良、市川拓司、中田永一、中村航、本多孝好『I LOVE YOU』(祥伝社)

好きだった中村航を目当てに買ったが、
本当に奇跡的なコンピレーションになっていた。
こんなに全部がおもしろい短編集なんて読んだことがない。

百瀬の細い指が僕の指に絡んでいた。女子に対して免疫のない僕にとって、指同士が接触するなどという行為は、極めて致死性の高いものだった。
中田永一「百瀬、こっちを向いて」『I LOVE YOU』



2006年
中村航『絶対、最強の恋のうた』(小学館)

『I LOVE YOU』所収の「突き抜けろ」を加筆し単行本化したもの。
それぞれのキャラクターがいとしい。

優しい男子がいい、と思った。優しいといってもへなちょこなのは困る。私がどう頑張っても開けられない蓋を、簡単にあけてくれるくらいには力があって、だけどマッチョなのはイヤだ。…全体的に紳士な感じがいい。サムライよりも紳士がいい。忍者でもいい。
中村航『絶対、最強の恋のうた』



2007年
穂村弘、東直子『回転ドアは、順番に』(筑摩書房)

東京に出てきたからかどうかはわからないが、
自分ひとりを見つめる詩歌がしみた年。

遠くから来る自転車をさがしてた 春の陽、瞳、まぶしい、どなた
穂村弘、東直子『回転ドアは、順番に』



2008年
バルガス=リョサ(田村さと子訳)『楽園への道』(河出書房新社)

アートと歴史への興味を発見した年。
小説もアートのひとつと考えるようになる。それは、山崎ナオコーラの影響。
河出の世界文学全集からほかにもいくつかと、
創刊された雑誌「モンキー・ビジネス」「真夜中」などを好む。

悪い時にこそ、笑顔だよ、フロリータ。すごくうまくはいかなかったけど、それほど悪くもなかったじゃないか。人間に奉仕することはつらい仕事だよ、アンダルシア女。
バルガス=リョサ(田村さと子訳)『楽園への道』



2009年
山崎ナオコーラ『モサ』(メディアファクトリー)

本当に大事に思う本なんてそうそう見つからないものなので、
ゼロ年代の最後にそれが見つかってとてもうれしかった。
まさに、愛すべき、一冊。

昼の一二時に起きる。もし学校へ行き続けていたとしたら中二という時期なのだが、文部科学省に対して違和感を抱いたモサは、登校しない。
山崎ナオコーラ『モサ』




こうしてみると、スポーツから小説へ、
そこでいちど収束して、
小説から詩歌、アートへ、と上昇しながら拡散している。

このあと、どんな雨になって落ちてくるんだろう、と思いつつ、
次の10年を待つ。

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